• 泌尿器科疾患

前立腺がん

男性だけにあるのが前立腺がんです。早期に発見し、適切な治療を行うことが大切です。

 PSAといわれる前立腺がんの腫瘍マーカーの重要性が認められ、前立腺がんは急増する傾向にあります。つまり、そのPSAを採血して調べることで、前立腺がんが早期に見つかりやすくなったということです。
 ただし、PSAは前立腺の肥大の強い方、前立腺に炎症のある方、激しい運動後や射精後にも上昇し、平均値より高いからといってがんと限られるものではありません。また、平均値そのものも、年齢的な要素も含まれます。検診などでPSA高値を指摘された場合、尿検査や超音波検査、MRIなども参考にします。
 診断には前立腺の細胞をとって顕微鏡でがんが混じっていないか確かめる検査(生検)が必要になります。(前立腺生検のページへ )PSA4~10程度で20~30%、それ以上では50%以上の方にがんが検出されます。
 生検で前立腺がんが確認されれば、CTなどで転移の有無を確認し、病気の広がりにあわせ、治療方針を検討します。(前立腺がんの治療のページへ

前立腺生検について

【前立腺生検】
 血液検査(PSA値測定)、MRIなどの画像診断、または触診で前立腺に異常を指摘された方は、悪性腫瘍が無いかどうかを見るために前立腺の一部を何カ所か採取して精密検査する必要性があります。細胞を検査のためにとることを「生検」といいます。

【前立腺と検査について】
 膀胱の下にあるくるみ大の臓器で、この真中を尿道が通っています。前立腺の裏側は壁一つへだてて直腸があるので肛門から指を入れると前立腺を触診することができます。同様に、生検は肛門から超音波の検査器具を挿入しそれで前立腺を観察しながら細い針で前立腺をおよそ10箇所以上刺して組織を採取するものです。
血尿や穿刺部からの出血、感染による発熱など合併症の可能性もあるため、施行に関しては近隣、ご希望の病院を紹介させていただいております。 腹圧性尿失禁

【検査の実際】
 通常、検査の前日寝る前に下剤を服用してもらいます。検査日の朝は排便を済ましてから検査を受けていただきます。
検査台に横になり血圧計などを装着します。おしりの尾てい骨のあたりから針を刺して仙骨硬膜外麻酔をし、検査を行います。検査後は処置室で約30分は安静にしていただきますが、その後は自由に歩行し飲食が可能です。検査日の翌日に再診、尿検査をして合併症の有無などをチェックして問題がないか確認します。
なお、検査の結果については約2週間後に外来でお話しします。

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前立腺がんの治療について

前立腺癌の各治療方法についてお知らせします。
前立腺癌に対する治療法としては、ホルモン療法、放射線療法、手術療法、化学療法、待機療法(経過観察)などがあり、
場合により、これらを組み合わせて治療を進めます。

1)ホルモン療法
 最も古くから行われており、睾丸を摘出するか、注射や飲み薬などで男性ホルモンを抑える治療法です。前立腺癌に対し、優れた治療効果を持ち、また、副作用もあまりないため、高齢者や全身状態の優れない方、転移のある方にも安心して使える治療法です。しかし、性機能不全となること、また、長く使っていると効果が弱くなり(前立腺癌の再燃といいます)、一旦再燃すると残念ながら、有効な手段はありません。
他の臓器(骨、リンパ節など)への転移がなく、体力的に余裕のある早期がんの方は、下に述べる治療法の中から、完全にがんを治す(根治といいます)方法を選ぶと良いでしょう。

2)放射線療法
 通常行われる外照射(当院でも施行しております)といわれる方法では、手術療法に比べ、単独では根治性ではやや劣ると考えられており、ホルモン療法との併用が一般的です。合併症に関しては、放射線特有の直腸症状(下痢、肛門痛)、頻尿などがみられますが、治療終了後徐々に改善されます。
性機能に関しては、短期的には保持されますが、経過とともに不全傾向となり、また、ホルモン療法併用の場合は保持は望めません。
また、最近では小線源療法(有効な条件は限られますが)、重粒子療法(保険適応外)など、新しい装置も開発されております。

3)手術療法
 前立腺と精嚢といわれる部分を(場合により周囲のリンパ節とともに)取り除きます。従来から行われているおへそ(臍)から下方の10~15cmを切開するのが‘恥骨後式前立腺全摘除術’で、‘腹腔鏡下前立腺全摘除術’は同じものを内視鏡(腹腔鏡)を用いて取り除きます。
 腹腔鏡下前立腺全摘除術は、恥骨後式前立腺全摘除術(開腹手術)と、取り除く範囲は同様ですが、大きくお腹を切らず、下腹部に5~12mmの小さな穴を5つあけ、そこにカメラや細長い器械を通して手術を行います。そのうちひとつの穴を3cmほどに広げ、切り取った組織を取り出すのです。
術後の合併症としては、尿失禁が見られますが、数日から数ヶ月かけ、軽快していきます(個人差があります)。尿失禁早期回復の手助けとして、PBトレーナーもご利用ください。
性機能に関しては、癌の広がり方と合わせて、勃起神経を温存するかどうか、手術前に検討する必要がありますが、温存した場合も、機能低下は起こりえます。
摘出した組織は改めて癌の広がり、性質を詳しく調べ(病理検査といいます)その後の経過観察、治療法を検討します。
 根治を期待した治療を行った後は、主にPSAで経過を観察します。手術後では0.1~0.2、放射線療法後は1.0~1.5を越えて上昇するなら、再発が疑われます。

4)化学療法
 前立腺がんでは、主に再燃した場合に行う治療方法です。

5)待機療法
 前立腺がんの顔つき(細胞の形)がおとなしい場合、PSAの推移を見ながら治療開始の時期をうかがっていく方法です。70歳以上の、PSA10以下の方の選択肢となります。
その他高密度焦点式超音波治療という、超音波を病巣に集束させ、高温でがん細胞を破壊する方法(早期のがんに対する治療方法です)など、保険適応外の治療方法もあります。

治療方法は、患者さんそれぞれの病状、ご希望を合わせ、検討されるべきもので、一人ひとり違うものです。
詳細は担当医と慎重に相談されることをおすすめします。

お問い合わせ

〒532-0026 大阪市淀川区塚本 2-24-20  TO コート塚本1F

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